夢のような恋だった

「琉依! とにかく心配だから顔見せろ」


サイちゃんだ。
相変わらず大きな、でも真に迫った声。
きっと琉依ちゃんのこと、とても心配してるんだ。


「彩治は関係ないでしょ。放っといてよ」


でも、琉依ちゃんの反応は冷たい。


「サイちゃん。琉依ちゃんのことは大丈夫だから、私に任せて」

「でも。……おい琉依!」


泣きそうな声。
その声に私はサイちゃんの方が心配になる。

とそこに、もう一人の声が弾丸のように切り込んできた。


「中津川。いい加減にしろ!」

「西崎?」


琉依ちゃんが途端にいきり立つ。


「アンタ関係ないでしょ。帰ってよ」

「うるせぇな。なんでそうお前はワガママなんだよ!」

「うっさい。ワガママじゃないわ。つかアンタに言われる筋合いないわよ」

「筋合いならあんの。彩治は俺の親友だからな。お前なんかに傷つけられて可哀相に」

「彩治の親友は私達よ!」


いきり立って、琉依ちゃんがドアを叩く。

……あれ?
なんか元気になってきた?


「大体お前みたいな女が家出とか笑わすんだよ。どんだけ悲劇のヒロインぶってんだ」

「はぁ? そう言うんじゃありませんー。アンタ何にも知らないくせにうるさいのよ」

「人に迷惑かけまくってるから関係ない人間にまで小言を言われるんだろ」


琉依ちゃんの怒りは頂点に達したらしい。

髪の毛が逆立つんじゃないかと思うほど興奮して、勢い良く扉を開けた。

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