夢のような恋だった
美しいドレスを身にまといながらもボロボロ泣いている彼女に、少年は居てもたっても居られず声をかける。
「大事な友だちがいなくなったの」
と彼女は言う。
聞いてみると、どうやらキラのような丸くて元気な生き物で、大きさを自在に変える能力を持っているらしい。
真っ直ぐで純粋で優しいそれの名前はダン。
「一度でいいから、きれいな舞踏会に行ってみたかったの。私が魔法使いのおばあさんからもらった大きなドレスを縫い詰めて、ダンが大きくなって私を運んできてくれた。だけど、王子様と踊っている間にいなくなってしまったの。どうしよう。私がダンのこと放ったらかしにしたから」
ダンに会いたい。
王子様より、ダンと一緒にいたい。
めそめそと泣き続ける少女に、少年はダンが転がったような痕を見せる。
「これを追って、探そう」
諦めずにヒントを頼りに二人は歩き始めた。
途中、色々な障害にある度に、励ましてくれたキラを思い出す。
大切だったのに。一緒に居なきゃいけなかったのに。
キラが居たからここまでこれたのに……。
「ダンが見つかったら、僕のキラも探して欲しい」
「うん。もちろん」