夢のような恋だった
サイちゃんはまだ琉依ちゃんのこと好きなのかなって思うのはこんな時。
去年、結構こてんぱんに振られたてしまったはずなんだけど(あろうことか、『彩治は一生親友』宣言されてしまったらしい)彼女を意識してるのかな、と思う節はある。
一年で背も凄く伸びて今ではお父さんと同じくらい。
お父さんとお母さんから良質なパーツをもらった顔は一般的にイケメンに入る部類だと思う。
琉依ちゃんの談によると、学校でもモテているみたいなんだけど。
案外、サイちゃんは一途なんだよね。
私はハンガーに掛かった制服の襟を直しながらサイちゃんに言う。
「でも制服も格好良いよ。懐かしいし。智も着てたんだよねぇ、これ」
「……そう?」
「うん。集合写真に写ってたら嬉しいな」
「ねーちゃんがそう言うなら……まあいいか」
頬をポリポリとかきながら頷くサイちゃん。
「……紗優は彩治の扱いが上手いなぁ」
感心したようにお父さんが続ける。
そういうお父さんは、当日、式場でモーニングコートを借りることになっている。
「紗優は白のウエディングドレスね。若いから白が映えていいわよ。写真だけとった和装も良かったけど」