夢のような恋だった

私と智くんの予算ではお式をあげてこじんまりとした披露宴を催すので精一杯だった。

だから着るのは、白のウエディングドレスと、披露宴で着替えるオレンジのカラードレス。

全部自分たちで準備したいと言った私と智くんに、お父さんとお母さんがこれだけはお金はこっちで持つからして欲しい、と言ったのが和装の記念写真だ。


「やっぱり日本人だしね。自国の文化って大事にしたいじゃない。紗優は体系的にも着物似合うし」

「それって胸がないってことじゃないの」

「バランスがいいってことよ。その身長で巨乳でもおかしいじゃない」


確かに。
お母さんはなんだかんだといつも冷静だ。


「自分の時はなんとも思わなかったけど、段々無くなっていくと恋しくなってくるのよね。着物とか畳とかふすまとか。古臭いって思ってるのは日本人だけで、外国の人から見たら立派な文化なのにね」

「そう……かな」

「紗優はまだ分からないかもね。私も、年を重ねるごとにそう思うようになったから」


私の周りでも、和装する人は少なくなってきている。
やっぱり着付けが面倒っていうのが一番なのかな。
お金もかかるイメージもあるし、正直そんなに興味が無い。


「形にこだわるからダメなのよ。例えばほらこれ」


お母さんがタンスから取り出したのは、髪飾りだ。

ちりめんで作られた花の髪飾り。
紫や黄色、黒に朱。結構いろいろな色が混ざっているんだけど、柄のせいなのか不思議と統一感がある。

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