夢のような恋だった
「鞄につけただけでほら。おしゃれな感じしない?」
薄いピンクのグラニーバッグの持ち手の付け根につけたら、なんだか妙に締まった。
和モダンな感じの鞄に早変わりだ。
「ホントだ。結構素敵」
「こういうの、上手く取り入れるといいわよ。私もね、仕事で海外展開している会社と取引する時があるけど、外国人はこういった和小物に食いつくわ」
「へぇ」
そうか。自国の文化ね。
確かに私達、妙に洋風かぶれなところがあるもんなぁ。
私の物語にも、そういうのを取り入れてみようかしら。
「ところで、夕飯どうする? せっかく紗優もいるんだし食いに行くか?」
お父さんが明るい声で提案する。
「ううん。せっかく帰ってきたんだから家で食べようよ。お母さんのご飯食べたい。私も手伝うから」
「あら、カワイイこと言うじゃない。私はそんなに料理上手じゃないわよ。……実は彩治が上手よ。私が遅くなると結構作ってくれるもの」
「え? そうなの?」
「だって昔はねーちゃんがしてたじゃん。ねーちゃんいなくなったら俺がやるしかないっしょ」
「そうだったんだ」
凄いな、サイちゃん。
なんでも出来るんじゃない。