夢のような恋だった
*
バイト先の本屋では、文庫フェアの準備中だ。
平台に乗せる話題の本の選定や展示のレイアウトなど、正社員さんが中心になって決める。
「葉山さんの絵本もいれようかぁ?」
「あはは、嬉しいですけど、そんなに売れてないし 」
児童書担当の人が私に声をかけてくる。
本名をペンネームにしているのは、こういう時に恥ずかしい。
「この間書いてた話の発売はいつなの?」
「三ヶ月後です」
「その時は平台に置いてあげるよ。地元作家フェアとか開こう」
「ありがとうございます」
三ヶ月後。
その頃までに、色々きちんとしておきたい。
少なくとも、草太くんのことだけは。
連絡するまで来ない、という宣言通り、本当に彼は部屋に来なくなった。
音信不通状態になって、もうそろそろ十日ほど経つ。
胸に小骨が引っかかってるみたいに、チクチクと痛いけれど、その理由が罪悪感のせいなのか寂しいからなのかよく分からない。
分からないから連絡も取っていない。
このまま自然消滅っていうのだけは後味が悪いから、はっきりさせなきゃとは思う。
というか、明らかに今の私は草太くんより智くんのことが気になっている。
気になる相手との未来がないから、草太くんとも別れる決心がつかないだけ。
こんなのズルいよねって思う。
バイト先の本屋では、文庫フェアの準備中だ。
平台に乗せる話題の本の選定や展示のレイアウトなど、正社員さんが中心になって決める。
「葉山さんの絵本もいれようかぁ?」
「あはは、嬉しいですけど、そんなに売れてないし 」
児童書担当の人が私に声をかけてくる。
本名をペンネームにしているのは、こういう時に恥ずかしい。
「この間書いてた話の発売はいつなの?」
「三ヶ月後です」
「その時は平台に置いてあげるよ。地元作家フェアとか開こう」
「ありがとうございます」
三ヶ月後。
その頃までに、色々きちんとしておきたい。
少なくとも、草太くんのことだけは。
連絡するまで来ない、という宣言通り、本当に彼は部屋に来なくなった。
音信不通状態になって、もうそろそろ十日ほど経つ。
胸に小骨が引っかかってるみたいに、チクチクと痛いけれど、その理由が罪悪感のせいなのか寂しいからなのかよく分からない。
分からないから連絡も取っていない。
このまま自然消滅っていうのだけは後味が悪いから、はっきりさせなきゃとは思う。
というか、明らかに今の私は草太くんより智くんのことが気になっている。
気になる相手との未来がないから、草太くんとも別れる決心がつかないだけ。
こんなのズルいよねって思う。