僕が霊を信じた日
深夜に目を覚めた。上の段へと登る梯を、弟が登っているところだった。


足音を鳴らし、足だけが見えていた。

「便所に行ってたのか?」


僕の問いに、その足は止まった。


しかし、弟は無言。

と、足は一歩一歩下りるではないか。


僕は途端に、金縛りにあった。

人生で初めての経験。


よく見ると、その足は弟の足ではなかった。


長い髪が露になる。

女性だ!

女性は、あの風呂場の時のように目を見開いている。

そして、一歩一歩とこちらに向かって来る。


僕はどうすることも出来なかった。


遂に、顔の近くまで悪魔が寄ってきた。
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