僕が霊を信じた日
「恐らく、かなり強い怨念のようですね」


女性は母の肩から、徐々に視線を下ろした。



「昔、あの家に殺人事件が起きたんです。三人家族だった平山家の全員が殺されたんですよ」


僕は女性に語った。


だが、女性の視線はテーブル、詳しくはテーブルの下に集中していた。



女性は何も話そうとしない。


ただ、テーブルを黙視しているだけだ。
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