128√e980-I Love You-


雷秋は自分の荷物を取りに行っていない。
先生はタイミングを見て話始めた。
大人で唯一の理解者だ。
でも、たまに現実を叩きつヶる。
甘えを許さない人だ。

「でも、いつまでも
 雷秋くんに黙ることもできないよ。
 あなたは、雷秋くんの優しさを
 利用して自分に背を向けてるのよ。」

わかってる。
それは、私が一番わかってる。
でも、もう少しの命。
死ぬまでの優しさに甘えていたい。
せめてもの、愛を使い果たしたい。

「先生、私ね、後───。」

この日は家に帰り、安静にしてるよう
穂波先生に言われた。
雷秋は帰り道、一言も喋らなかった。
私の顔ゃ体の傷を見てひたすら謝った。

《ごめん、守れなかった。》

< 14 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop