ジャスミン
『そういえば、何だか朝から社内がバタバタしてない？』

お腹も満たされ、軽く眠気に襲われながら美香に話しかける。

『あ～、何か海外進出の話が出てるみたいで上の人たちがバタバタしてるみたいなこと営業の藤田くんが言ってたかも。』

『さすがの情報網だね！そうなんだ～ショーのことで只でさえ忙しいのにね。』

そんなことを話しながらランチを終えると、自分のデスクに戻る。

昨日から部長は出張が続いているようで今日も姿を見ていない。どんな顔をして会えばいいかと思うと、どことなくほっとしてしまう。


『さて、やりますかっ！』

昨日のデザインの下書きををパソコンで仕上げて、材質などを詰めていく。

サンプルファイルから布の手触りや色目を決めていく途方のない作業に気がつけば定時はとっくに過ぎて周りに人もいなくなっていた。

「う～ん！」と背伸びをすると、パソコンの電源をOFFにして帰り支度をする。

警備員に挨拶をしながら、ビルの外に出ると携帯を確認する。

『あっ！着信あったんだ。』

慌てて、かけ直すと低めの心地よい声が耳元に響く。
< 126 / 348 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop