ジャスミン
しばらくすると、閑静な住宅街に入る。
車が停められたところにあったのは、一軒家のような洋風の建物。

『ここ?』

『あぁ、味はおすすめだよ。』

そういうと、颯太郎はシートベルトを外して車から降りる。

『…味は?』

微妙に颯太郎の言い回しに引っ掛かりながらも、茉莉も続いて車から降りた。


『いらっしゃいませ~。って颯太郎じゃん!』

店内の人物は、颯太郎の顔を見るとあからさまにがっかりしたような態度になる。

『客には違わないだろっ!ったく、相変わらずだな。』

颯太郎との掛け合いに、二人の仲の良さが伺え、なかなか店の中に入れずにいると、『何やってるの?おいで。』と颯太郎に手を引かれ、その勢いで店に足を踏み入れた。


店の中にいた人物と目が合う。

颯太郎ともひけをとらないイケメンで、顎に生やした髭がより彼を魅力的にしている。

どうしたら良いか分からず、とりあえず会釈をする。
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