ジャスミン
(…それにしても笑いすぎじゃない?)

目の前には、余程ツボにはまったのか、幸太郎が地味に笑い続けている。

助けを求めようと颯太郎の方を見ると、彼もまた肩を震わせている。


『クックッ…あぁ~笑った!颯太郎の彼女はいい子だわぁ。』

『まぁな?』

兄弟間での謎の会話の様子を見ながら二人はやっぱり双子だ!と妙に納得してしまった。

(これは…気に入ってもらえたのか?)

『そうだよ。』

心の中の疑問に、颯太郎から答えが返ってきてビックリすると、

『いやいや、顔に思ってること出過ぎだからっ!』

透かさず、隣に立つ幸太郎から突っ込みが入った。


『いやぁ~、本当にいい子だわぁ。茉莉ちゃんならあのラスボスも倒せるかもねっ!』

『え?ラス…ボス?』

『おいっ!余計なことを言うな。いいか、茉莉のことも言うなよ!』

幸太郎の言葉に颯太郎が慌てて止めに入った。

その表情は、見たことのないくらい険しく、和やかだった空気もあっという間に凍りついた。
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