ジャスミン
(ラスボスって何?でも聞ける雰囲気じゃない…。)

『…えっと、じゃあ料理持ってくるよ。』

『あ…あぁ、頼むよ。』

茉莉の困惑した様子を見て我に返ってたのだろう。

幸太郎も颯太郎も今の会話がなかったかのように振る舞う。


『あ、あの楽しみにしてます!』

茉莉は気にならないと言ったら大嘘だが、この場の雰囲気を考えてなるべく柔らかい笑顔で幸太郎に話しかけた。

『…うん!期待を裏切らないようにするからねっ!』

幸太郎は今日一番の爽やかスマイルで茉莉に応えた。


それからテーブルに並べられた料理の数々は、とてもランチとは言えないほどの豪華さだった。

よくよく聞けば、幸太郎はこの店のオーナー兼シェフらしい。

そして今日は夕方からオープンの為、仕込み中で他にお客さんがいなかったということらしい。

(これだけの味だもん。普段はお客さんでいっぱいなんだろうな。)

茉莉はエビのトマトクリームソースのパスタを頬張りながら、今は空席のテーブルたちを見渡した。
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