ジャスミン

『え…あの…。』

『京子、茉莉が戸惑ってるだろ！ごめんな？』

自分のことのように謝る颯太郎にカチンッと頭の中の何かが鳴った気がした。

ガタッ。

今度は膝をぶつけることなく立ち上がると真っ直ぐに京子を見つめた。


『はじめまして。倉田茉莉と申します。』

挨拶の後に頭を軽く下げると、僅かに京子が動揺したのか、表情が変わった。

…が、次の瞬間。

『きゃ～！ムッとしちゃってぇ、かわいい～！！』

『…は？』

苦しくなるくらいの力で身体を拘束されていた。


『なぁ～に、颯ちゃんってば！いつの間にこんな可愛い彼女作っちゃってぇ！』

『はぁー。ったく、おまえは…。幸太郎どうにかしろよ…。』

颯太郎は京子の様子に心底呆れたように溜め息をつくと、幸太郎に助けを求めた。

『さすがっマイハニ～！見る目あるなぁ♪』

『当たり前でしょ～！幸ちゃんが旦那さまなんだからっ！』

京子はなおも茉莉を抱きしめたまま、幸太郎にウインクをする。