ジャスミン
『「ぷっ、ふふ、ははっ…。」』

颯太郎と茉莉はお互いに顔を見合わせると、どちらともなく笑いが溢れてくる。


『あ~、本当に茉莉と出会ってから、どれだけ笑ったんだろうな。』

車のシートベルトを締めつつ、なおも笑いながら颯太郎が呟いたその言葉で、茉莉自身も颯太郎と出会ってから、自然体でいられていることに気づいた。

『私も!…でもこんな自分も嫌いじゃないかも。』

『…その顔は反則だな。』

颯太郎は照れているのか、片手で自分の顔を押さえたかと思ったら、その手を茉莉の後頭部に回して、茉莉の顔に一瞬、影を作った。

瞬きを忘れたまま茉莉はその状態で固まる。が、唇に残る温もりに我に返って両手で口元を押さえる。

『もぉ~!○□☆×△~っ!?』

『ハハッ、何言ってるか分からないよ。さぁ、出発するからシートベルトしろよ。それとも、俺がしてあげようか?』

茉莉の慌てふためく様子を楽しむように颯太郎は更に意地悪く問いかける。
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