ジャスミン
『なっ、それとこれとは違うでしょ!?』

『はい、はい、分かってるよ。俺はこてんぱんにフラれたからな。』

意地悪く笑みを浮かべながらタバコに火をつける。


『まぁ、それは置いといて。おまえなら出来るから任せるんだ。いつまでも俺のアシスタントでいるつもりか?この仕事次第で昇進の話もある。元々、おまえのデザインがショーを飾ってるんだ。デザインだけじゃなくて、色々なこと勉強するには良い機会じゃないか。』

『…私に出来るんでしょうか?』

『ったく。俺は出来ない女に惚れたりしねぇよ!これは茉莉の正念場だぞ。』

部長の言葉が偽りではなく、真っ直ぐに茉莉の心に響いてくる。


『…はい。頑張ります!』

『そうか。頑張れよ!』

茉莉の表情を見て安心したように微笑む。


『後な…その、色々悪かった!』

部長がガバッと頭をさげて謝る。

『ちょっ、ちょっと止めて下さい!』

慌てて、頭をさげる部長を止める。

『いや、俺がおまえにした事は許されることじゃない。本当にすまない!』

部長の真剣な表情に誠意が伝わってくる。
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