ジャスミン
茉莉は一度目を閉じるとゆっくりと部長に顔を向けた。


『…私も同じですから。部長だけが悪い訳じゃないんですよ。色々とすいませんでした!でも、少なくとも私はたくさん支えてもらったから…今までありがとう。』

茉莉は気持ちを込めてゆっくりとお礼を言った。そんな茉莉を驚いたように見つめると左手を顔に当てて俯く。

『本当におまえには負けるよ。俺こそ、たくさん助けられたよ。…ありがとな?』

『ううん。あと…奥さまとは話せたの?』

『あぁ、久しぶりにじっくり話したよ。あいつ、俺に付いていくって。驚いたよ…俺はしっかりあいつのこと分かってなかったんだなって。もう一度一からやり直すつもりだ。』

顔をあげて茉莉に微笑みかける。
茉莉も心からこの夫婦を応援したいと思った。


二人の間には今までにないような穏やかな空気が流れた…と、思い出したかのように部長が話し出した。
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