ジャスミン
『おまえ…何で⁉︎』

『はっはっは!驚いたかね。実は公にはしてないんだが、汐里はわたしの姪なんだよ。』

『っ⁉︎…そうだったんですか。』

『今まで内緒にしていてすいません。周りに捏ねとか色々言われるのも嫌だったし、お仕事に集中したかったものですからー。』

その言葉を聞いて満足そうな顔をする専務が贅肉たっぷりの体をソファに座る汐里の横に沈ませる。


『ホントに昔から良く出来た娘でねぇ、わたしやこの娘の親は家で花嫁修業でもしていればって言うんだけど、まぁ今は女性も活躍する世の中だからねー、じゃあ、うちの会社で勉強でもするか?ってわたしが言ったんだよ。』

姪っ子にデレデレしながら、得意げに話す専務だが、要するに捏ね入社なんだと颯太郎はシラけた表情になる。

そして普段の姿を想像するに、とても仕事をしようとする意識は感じられず、まんまと騙されるこの狸のような男に若干憐れみに似た気持ちを抱く。


『で、今日はどう言ったご用件でしたか?』

この茶番劇は時間の無駄だと判断し、専務を促す。
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