ジャスミン
俺と茉莉の関係を知っているのだろうか…？

どちらにしても、まるで番犬のようにピッタリとくっ付いている様は俺の中の嫌悪感の一つを増長させていた。


『課長〜、聞いてます？』

もう一つの嫌悪感の原因…この女。

『もぉー、ビールつぎますね！』

会話するのも面倒で適当にやり過ごす。


『フッ、君も案外分かり易いんだな。』

隣に座る佐伯部長が、面白いものを見るかのように口角をあげる。

『…そうみたいですね、最近知ったんですけど。』

颯太郎はグラスに口をつけ、自嘲気味に答えた。

『だが、あいつはもっと分かり易い。ほら、もう限界みたいだぞ？』

佐伯部長は敢えてそっちの方向は見ずに、独り言のように呟く。


「あいつ」とは一人しか思い当たらない。
言われるまま、視線を向ける。


西川が両手を茉莉の顔に添えている姿が目に入る。

（あいつ、ふざけんなっ！）ガタッ‼︎

颯太郎は勢いよく立ち上がろうとすると、グラスが倒れてしまった。
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