ジャスミン

池田は美香を見ると、顔を真っ赤にする。

『えっと…も、もしかして、加藤さんの彼女さんですか？』

美香はスッと席を立つと、完璧な営業スマイルで池田の心を鷲掴みにする。

『初めまして。田中と申します…よろしければご一緒にいかがですか？』

美香の魔力にかかった池田は断る訳もなく、流されるように席に座る。そんな池田に大樹は心から同情するのだった。

『企画課ってことは、今回の「KSM」のプロジェクトに池田さんも関わってるの？実は私、「KSM」で受付業務をやっているんです。』

美香は池田の瞳をジッと見つめてニッコリと微笑む。

『ぇあ、あぁ…そうなんですか！そ、そうです！僕も参加させてもらってるんですよ。』

『少し聞きたいことがあるんですけど…。』

『何でもどうぞっ！！』

美香は内心「しめたっ！」とニヤリ。
そんな美香の心の内が分かる大樹は二人のやり取りをヒヤヒヤしながら見守る。