ジャスミン
『最近は、部長との引き継ぎとかでバタバタしてて、颯太郎とゆっくり出来なくて…不安定になっていたのかも…。
西川くんは、すごく仕事熱心で社内でも評価が高い人で、私も信頼してたんだけど、あの日…駅でいきなりキスされて、颯太郎は金子グループの後継者だから専務の姪御さんの三上さんの方が相応しいって言われて…。
私、言い返せなくて、家に帰った頃に颯太郎からの電話が掛かってきたと思ったら三上さんの声が聞こえてきて…益々自信がなくなっちゃって連絡出来なかったの…。』

言い終わると、茉莉は思い出したのか泣きそうな表情になる。

颯太郎は咄嗟に茉莉の両手を掴み両手でギュッと包み込んだ。


…茉莉にそんな顔をさせているのは俺なのか。俺が自分の保身ばかりじゃなくて、もっと早く伝えておけば茉莉にこんな想いをさせなくて済んだのかもしれない…。

全身の血の気が引いていくような感覚になるのは三上汐里に帰り際言われた言葉が耐えているのかもしれない。

色々思うことはあるが、俺の様子を怯えた表情で伺う茉莉の姿を見たら取り敢えず自分も最近の出来事を話すことにした。
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