ジャスミン
『君さー、いい?姑息な手使ってコソコソやってるみたいだけど、茉莉と颯太郎さんの絆は簡単には揺るがないわよ。現に最近も一晩みっちり愛し合ってたはずだもの。ね〜?茉莉ちゃん♡』

まるで自分のことのようにキッパリ断言してくれるのは嬉しいが、かなり恥ずかしい気持ちにいたたまれなくなる。

『美香…ありがとう、もうそれ以上は…。』

顔を真っ赤にしながら美香を窘める茉莉の姿に西川は眉をピクッと動かす。

『…そうなんですか。でも僕もまだ負けたつもりはありませんから。田中さんも茉莉さんの事を想うなら金子さんじゃなくて、僕を勧めるべきだと思いますよ?では、僕たち急いでますからっ!』

西川は一気に美香に言い放つと茉莉の腕を掴んでエレベーターの方へと歩き出した。

『はぁ?茉莉に気安く触るんじゃないわよ!これ以上傷つけることしたら許さないんだからっ‼︎』

美香はバンッと目の前の受付台を両手で叩いて立ち上がると西川に向かって叫んだ。
< 252 / 348 >

この作品をシェア

pagetop