ジャスミン

『わ、わざわざ出迎えて頂いてありがとうございます！えっと、今日は大まかな流れの打ち合わせをさせて頂きたくて。』

『茉莉さんってば、そんなに焦らなくても金子さんは逃げませんよ。そうですよね？』

茉莉を窘める西川の姿に颯太郎はあからさまに不機嫌な表情に変わる。だが、それも一瞬のこと。すぐにいつものポーカーフェイスになると茉莉と西川を部屋へと案内する。


（うわっ絶対今、機嫌悪くなったよね…私が悪いのか？んん〜やっぱり私だよね？あぁーもうっ！）

そんな茉莉の心の内が見えるのか、百面相になっている姿を見ながら颯太郎に反して西川は上機嫌に歩いていく。

『あっ！いたいた〜。金子課長〜！』

三人の後方から可愛らしい声が廊下に響く。三人の足は止まり声のする方へと振り返る。

『今から打ち合わせなんだが？』

颯太郎の嫌悪感いっぱいの態度に怯むことなく声の主、三上汐里はパタパタと音を立てて近寄ってくる。

『その打ち合わせ、私も参加することになったんです！』