ジャスミン
『…どういうことだ?』

より一層冷たい視線を向ける颯太郎に汐里はニコッと微笑み、逆に茉莉はハラハラしてしまう。

『えっとー、専務に勉強させてもらいなさいって言われました。部長もそうしなさいって!』

『……チッ。』

得意気に話す汐里に颯太郎は軽く舌打ちすると何も言わず歩き出した。その流れに三人も付いて行く。汐里は茉莉の隣りに並ぶと可愛らしい笑みを浮かべる。

『倉田さん、よろしくお願いします〜。一緒にお仕事出来るなんて嬉しいです!美人だし、出来る女って感じで尊敬しちゃいます。』

『ハハ…そんなことはないですけど、よろしくお願いします。』

必殺上目遣いビームを向けてくる汐里に思わず後ずさりしそうになるものの、何とか平静を保つ。

『お疲れさまです!』

部屋に入ると数人のメンバーがすでにいる。茉莉も同様に挨拶をすると用意された席に座る。

打ち合わせ場所は前回同様、企画会議室。今日の人数は前回よりは少ないものの長机をいくつかくっ付けて斜め隣りに座る。颯太郎の隣りには嬉しそうに汐里が並んでいる…茉莉は胸の奥がギュッと締め付けられるような気持ちになった。
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