ジャスミン
西川は皆に向かって机につくくらい頭を下げた。

『…最悪!これこそ茶番じゃない⁉︎やってられないわ!』

吐き捨てるように言うと汐里はカツカツとヒールの音を立てて部屋を出て行こうとする。

『おい!三上。おまえの処分はしっかりさせてもらうからな!』

颯太郎はより一層厳しく汐里に言い放つと悔しそうに顔を歪めてドアをバンッと音を立てて部屋を後にした。

彼女がいなくなった部屋はシーンと静まりかえっていた。

『皆、プライベートな事に巻き込んでしまって申し訳ない。西川くんも言ってくれたように公私混同するつもりは俺も茉莉も毛頭ない。どうか温かく見守ってほしい。』

颯太郎は深々と頭を下げる。茉莉も慌てて立ち上がり一緒に頭を下げた。


パチ…パチ…パチパチ〜。
『確かに驚きましたけど、僕らは大歓迎ですよ。』

『そうそう!何せお似合いだもんね!』

『課長にも人間味溢れるとこがあって何かホッとした〜。』

周りの皆の拍手と次々と出る温かい言葉に茉莉は瞳が潤み始める。それを隠すかのようにまた深々と頭を下げた。
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