ジャスミン
和やかな雰囲気の中、一通りの打ち合わせを終えると皆がそれぞれの場所へと戻って行く。

部屋には颯太郎と茉莉と西川の三人だけとなりまたピリッとした緊張感がはしる。

『さっきも言いましたけど、あの女とわざとあの飲み会の時に俺と茉莉さんの姿を見せるようにしました。二人が別れたら俺にもチャンスがまわってくると思ったし、二人が一緒にいても茉莉さんは幸せになれないって聞いたから…。でも、そんな事してる時点で俺の負けですよね。俺、このプロジェクトからおりるので安心してください。』

西川は俯きがちに部屋から出て行こうとする。

『ちょっと待って。言い逃げする気?』

茉莉に呼び止められ、自嘲気味に西川が振り返った。そんな西川を真っ直ぐに見つめ、それから頭を下げた。

『ありがとう…。西川くんのおかげでこれからも仕事に打ち込めると思う。確かに許せないこともあるけど、でも何勝手に仕事放棄しようとしてるの?あなたは私をサポートするんでしょ!私と西川くんで一人前なんだから勝手に辞められちゃ困るわ。一社会人なら与えられた役割くらいしっかり果たしなさい。』

茉莉はわざと厳しめに伝えると西川に微笑んだ。
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