ジャスミン
『頬が赤いぞ?』

『誰のせいよっもう!』

前に回り込んで何食わぬ顔で指摘する颯太郎に茉莉は頬をさすりながら抗議するように軽く睨む。


『しかし、西川のこと良かったのか?』

茉莉が無理をしていないか気がかりなのか…少し心配そうに茉莉の表情を伺う。

『うん。これで良かったと思ってるよ。大丈夫、ちゃんと元の西川くんに戻ってたもの。それに私が後悔するようなことはないんでしょ?』

茉莉は最後の部分を敢えて強調して問いかける。

『あぁ、もちろん。後悔なんてさせないから心配ないよ。』

チュッ
颯太郎は茉莉のまだほのかに赤い頬に軽く口づけをすると『あーぁ、また赤くなっちゃった。』と茶化しながら部屋の出口に向かって歩き出した。

『もうっ!またやられた。』

茉莉は両手で頬を押さえながら颯太郎にはどうやっても勝てないことを悟ったーー。
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