ジャスミン
『初めましてね…。』
表情を変えることなく呟くと、無駄のない所作で茉莉の前にたてたばかりのお抹茶を置く。
『粗茶ですが。』
茉莉はもちろん茶道の心得がある訳でもなく、目の前に置かれたさも高級そうな器を見つめ戸惑う。そんな茉莉に構うことなく颯太郎の母親は射抜くような視線を遠慮なしに向ける。
いつまでもこのままと言う訳にもいかず、自分が知っている知識でどうにかお抹茶を口に運ぶ。
『…結構なお手前で。』
茉莉が器を置くと颯太郎の母親は目を細め、そしてやっと話し出した。
『あなたが仰った通り私は颯太郎の母親の金子早紀江と申します。今日はいきなりの事に驚かれたでしょう、ごめんなさいね。』
『はい…あっいえ、倉田茉莉と申します。』
思わず本音が出てしまい、慌てて取り繕う。『クスッ』と聞こえたような気がして顔を上げるが、早紀江は相変わらずの無表情でこちらを見ている。
茉莉は背筋を伸ばし、早紀江の話に耳を傾ける姿勢をとった。
『今日ここに来て頂いたのは…。』
表情を変えることなく呟くと、無駄のない所作で茉莉の前にたてたばかりのお抹茶を置く。
『粗茶ですが。』
茉莉はもちろん茶道の心得がある訳でもなく、目の前に置かれたさも高級そうな器を見つめ戸惑う。そんな茉莉に構うことなく颯太郎の母親は射抜くような視線を遠慮なしに向ける。
いつまでもこのままと言う訳にもいかず、自分が知っている知識でどうにかお抹茶を口に運ぶ。
『…結構なお手前で。』
茉莉が器を置くと颯太郎の母親は目を細め、そしてやっと話し出した。
『あなたが仰った通り私は颯太郎の母親の金子早紀江と申します。今日はいきなりの事に驚かれたでしょう、ごめんなさいね。』
『はい…あっいえ、倉田茉莉と申します。』
思わず本音が出てしまい、慌てて取り繕う。『クスッ』と聞こえたような気がして顔を上げるが、早紀江は相変わらずの無表情でこちらを見ている。
茉莉は背筋を伸ばし、早紀江の話に耳を傾ける姿勢をとった。
『今日ここに来て頂いたのは…。』