ジャスミン
『…それで茉莉はどうするの?』

『私は…本当にどうしたら良いか分からない。』

美香が伺うように核心部分を聞くと、茉莉も本音を話し始める。


『颯太郎のお母さんが言ったように近い将来、金子グループを継ぐ颯太郎の奥さんになる人は彼が努力している今も彼以上に色々なことを学ばなければいけないと思うの。
それには、今すぐにでも仕事を辞めるくらいの覚悟がないと…そんな生半可なものではないと思うし。
私は颯太郎と一緒に歩んでいく覚悟は出来てたけど、金子グループ後継者と一緒に歩んでいく覚悟までは出来てなかったんだと思う。
この仕事大好きだし、今やってるショーの事が区切りがつく前に辞めてしまったら多分…一生後悔する気がする。』

一通り話し終えると隣りから盛大な溜息が聞こえてきた。


『はぁ〜ぁ。結局のところ不器用なのよね、茉莉も颯太郎さんも。…茉莉はもう答えを出してるよ。』

『そっか…もう答え出てたんだ。』

美香に自分の気持ちを話しながら心の中を整理していった結果が出た訳だが、気持ちが晴れることはない…。
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