ジャスミン
『さ〜てとっ!お昼にしちゃおっか?オムライスにしたけど良い?』

♪〜♪〜♪〜
鼻歌交じりでキッチンへと入る母を見ながら茉莉は颯太郎のことを考える。

(私たちとママたちの状況は違えど、同じことなのかもしれない…ただ諦めて別れるだけで良いの?)

颯太郎のお母さんに認めてもらえなかったのも当然の事なのかもしれない…だってまだ何の努力もしていないのだからー。

だからと言って母のように家事が出来るようになれば良い訳ではない。
茉莉には譲れないものが二つあるのだ。

今まで自分らしく生きてこられたのはデザイナーという仕事のおかげ。

そして

飾らない自分をありのまま愛してくれたかけがえのない存在。

どちらも手放したくないというのが本音だが、そんな話がまかり通らないのはよく理解している。

何より、颯太郎の足手まといになるような事は絶対したくない。

若い頃よくやらない後悔をするくらいなら、やってしまった後悔の方が全然良い!なんて言ってたりしたが、年齢を重ねるに連れて余計なしがらみが混ざり結果、無難に過ごしてきた。
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