ジャスミン
諦められる訳がないと分かっている以上仕方ないことだが、果たして耐えられるのか…。

そしていつか茉莉が他の奴と結婚する日が来るかもしれないーその時に心から祝福出来るのだろうか…。

仮定の話を考えるだけで胸の中がザワザワ騒がしくなる。これが現実になったらなんて考えるまでもなかった。


『好きでいるのは自由なんじゃない?それだけは颯太郎の意思で決めれることなんだからさ。』

突然話かけられた事にも驚いたが、心の中を完全に読まれた事に目を見開く。

『驚いたな…起きてたのか?』

大樹は颯太郎の隣りに並ぶと同じように煙草に火をつける。

『そんな哀愁漂う背中見てたら分かるよ。』

颯太郎は何も言えなくなり、黙り込む。

『俺さー、大抵のことはその人の努力次第で何とかなると思うんだ。先のことは分からないけど、今目の前のことを一つずつ片付けていったら、いつかどでかい壁も越えてるのかもしれないな…。』

独り言のように言うと大樹は黙って煙草を味わう。そんな彼の言葉が颯太郎の頭の中をリフレインしていく。
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