ジャスミン
エレベーターに乗り込むとそこは二人だけの空間になる。
『…なぁ、颯太郎。無理してないか?』
大樹は次々と変わっていく階数の画面を眺めながら颯太郎の様子を伺う。
『…少し昔の自分に戻っただけだ。』
『だけどっ!「ポーン。」』
大樹が反論しかけたところでエレベーターが目的の階を知らせる。
『じゃあ、またな。』
颯太郎は片手を挙げながらスタスタと歩いて行った。その後ろ姿を見つめながら大樹はいたたまれない気持ちになる。
『何強がってんだよっ!あのバカッ!』
与えられた個室に入るとゆっくりと息を吐きながらネクタイを緩めようと手を掛ける。だが、ふとその動作を止めネクタイを見つめる。
『ふっ、あいつちゃんと俺の好み分かってるよな。』
ネイビーにシルバーのラインの入った少し細みのネクタイは、紛れもなくあの日の茉莉からの贈り物だった。
数ヶ月の間、苦しい事も山ほどあったがその都度、颯太郎を支えてきたのはこれだった。このネクタイをすると普段の自分以上の力を発揮することができるのだ。
『…なぁ、颯太郎。無理してないか?』
大樹は次々と変わっていく階数の画面を眺めながら颯太郎の様子を伺う。
『…少し昔の自分に戻っただけだ。』
『だけどっ!「ポーン。」』
大樹が反論しかけたところでエレベーターが目的の階を知らせる。
『じゃあ、またな。』
颯太郎は片手を挙げながらスタスタと歩いて行った。その後ろ姿を見つめながら大樹はいたたまれない気持ちになる。
『何強がってんだよっ!あのバカッ!』
与えられた個室に入るとゆっくりと息を吐きながらネクタイを緩めようと手を掛ける。だが、ふとその動作を止めネクタイを見つめる。
『ふっ、あいつちゃんと俺の好み分かってるよな。』
ネイビーにシルバーのラインの入った少し細みのネクタイは、紛れもなくあの日の茉莉からの贈り物だった。
数ヶ月の間、苦しい事も山ほどあったがその都度、颯太郎を支えてきたのはこれだった。このネクタイをすると普段の自分以上の力を発揮することができるのだ。