ジャスミン
綺麗に手入れが行き届いた庭園を茉莉と二人で無言で歩く。たまに鳥のさえずりやししおどしの音が聞こえてくるが、二人だけの空間が広がる。
あの後、動揺の余り味も分からぬまま昼食を終えると『若い者は若い者同士で庭でも散歩してきたら?』などと今更見合いの定番のような台詞を言われ今に至るのだ。
二人で会うのはあのクリスマスイヴ以来でどことなく気ごちない雰囲気が漂っていた。
そんな中で颯太郎は先程の母から言われた言葉を思い出す。
『じ、じゃあ!何で俺たちを引き離すようなことしたんだよ⁉︎』
和やかに談笑していた母たちがピタッと話を止めて真面目な顔になる。そして一呼吸おくと由梨がその理由を話し出した。
『早紀江ちゃんはね、上辺だけじゃなくて深いところで二人に結ばれて欲しかったのよ。颯太郎さんは家柄のことで特に女の人に対して不信感を募らせていたでしょ?早紀江ちゃん…その事をずっと心配してて、颯太郎さんに一人の女性を愛する事と愛される喜びを感じて欲しかったのよ。』
『…それだけじゃなくて。』
早紀江も続けて口を開く。
あの後、動揺の余り味も分からぬまま昼食を終えると『若い者は若い者同士で庭でも散歩してきたら?』などと今更見合いの定番のような台詞を言われ今に至るのだ。
二人で会うのはあのクリスマスイヴ以来でどことなく気ごちない雰囲気が漂っていた。
そんな中で颯太郎は先程の母から言われた言葉を思い出す。
『じ、じゃあ!何で俺たちを引き離すようなことしたんだよ⁉︎』
和やかに談笑していた母たちがピタッと話を止めて真面目な顔になる。そして一呼吸おくと由梨がその理由を話し出した。
『早紀江ちゃんはね、上辺だけじゃなくて深いところで二人に結ばれて欲しかったのよ。颯太郎さんは家柄のことで特に女の人に対して不信感を募らせていたでしょ?早紀江ちゃん…その事をずっと心配してて、颯太郎さんに一人の女性を愛する事と愛される喜びを感じて欲しかったのよ。』
『…それだけじゃなくて。』
早紀江も続けて口を開く。