ジャスミン
『さてと!』
茉莉は目の前にあるデザインのチェックに没頭する。
今、手掛けているのは来年の夏にある一大ファッションショーのラストを飾るサマードレスだ。
この世界は感覚が麻痺してしまう程、季節先取りが当たり前。
夏らしく、海沿いにある屋外スタジアムで行われることになっている。
何万人の人が見つめるラストのドレスを任されたことで茉莉はいつにもなく、張り切っていた。
先週までは、数え切れない量のデッサンをこなしていたが、残りはチェックをして、上との打ち合わせということで、久しぶりに週末をゆっくり休むことができた。
(…このデザインがもうすぐ形になっていくんだ。)
茉莉はデザインが形になっていく過程がたまらなく、好きだ。完成品を見たときには、まるで我が子を嫁に出すかのような気持ちになる。
街中でその服を身に付けている人を見つけると何とも言えない喜びを感じていた。
その瞬間のために仕事をしていると言っても過言ではなかった。過酷な毎日も耐えていけるのだ。
茉莉はもう一度デザイン案を見直すと両手を上にぐぐっと伸ばした。
『よぉ。できたのか?』
その声の主は振り返らなくてもすぐに分かった。
『…はい。佐伯部長。』
茉莉は目の前にあるデザインのチェックに没頭する。
今、手掛けているのは来年の夏にある一大ファッションショーのラストを飾るサマードレスだ。
この世界は感覚が麻痺してしまう程、季節先取りが当たり前。
夏らしく、海沿いにある屋外スタジアムで行われることになっている。
何万人の人が見つめるラストのドレスを任されたことで茉莉はいつにもなく、張り切っていた。
先週までは、数え切れない量のデッサンをこなしていたが、残りはチェックをして、上との打ち合わせということで、久しぶりに週末をゆっくり休むことができた。
(…このデザインがもうすぐ形になっていくんだ。)
茉莉はデザインが形になっていく過程がたまらなく、好きだ。完成品を見たときには、まるで我が子を嫁に出すかのような気持ちになる。
街中でその服を身に付けている人を見つけると何とも言えない喜びを感じていた。
その瞬間のために仕事をしていると言っても過言ではなかった。過酷な毎日も耐えていけるのだ。
茉莉はもう一度デザイン案を見直すと両手を上にぐぐっと伸ばした。
『よぉ。できたのか?』
その声の主は振り返らなくてもすぐに分かった。
『…はい。佐伯部長。』