ジャスミン
『そうか。よく頑張ったな。』
茉莉の頭に手を乗せ、優しく言葉を掛ける。茉莉は何とも言えない複雑な気持ちになった。
『15時からなら時間作れるから第二会議室押さえておけよ。』
そんな茉莉の様子に気づくこともなく、部長は片手をヒラヒラさせて去っていく。
(…これは恋じゃない。はっきりさせなくちゃー。)
頭に残る彼のぬくもりを振り払うかのように、茉莉はホワイトボードの第二会議室の欄に15時~打ち合わせと書いて、財布片手に昼休憩へと向かった。
美香の指定した店は会社から10分くらいのところにある隠れ家的な洋食屋さんだ。
「黒猫」という名前だけあり、店内の至るところに猫の置物が置いてある。
味も良く、会社の人間がほとんど来ないこともあり、美香と茉莉の行きつけの店だった。
『いらっしゃいませ。』
聞き慣れた声が聞こえてきた。この店の主である浩一さんだ。もうすぐ還暦を迎えるとは思えない彼の雰囲気にファンも多い。私もその一人だ。
『こんにちは、浩一さん。美香来てる?』
『やぁ、茉莉ちゃん。あぁ、いつもの席で待ってるよ。』
浩一さんの言葉に店の奥にあるソファ席に視線を移すと美香が手招きしていた。
茉莉の頭に手を乗せ、優しく言葉を掛ける。茉莉は何とも言えない複雑な気持ちになった。
『15時からなら時間作れるから第二会議室押さえておけよ。』
そんな茉莉の様子に気づくこともなく、部長は片手をヒラヒラさせて去っていく。
(…これは恋じゃない。はっきりさせなくちゃー。)
頭に残る彼のぬくもりを振り払うかのように、茉莉はホワイトボードの第二会議室の欄に15時~打ち合わせと書いて、財布片手に昼休憩へと向かった。
美香の指定した店は会社から10分くらいのところにある隠れ家的な洋食屋さんだ。
「黒猫」という名前だけあり、店内の至るところに猫の置物が置いてある。
味も良く、会社の人間がほとんど来ないこともあり、美香と茉莉の行きつけの店だった。
『いらっしゃいませ。』
聞き慣れた声が聞こえてきた。この店の主である浩一さんだ。もうすぐ還暦を迎えるとは思えない彼の雰囲気にファンも多い。私もその一人だ。
『こんにちは、浩一さん。美香来てる?』
『やぁ、茉莉ちゃん。あぁ、いつもの席で待ってるよ。』
浩一さんの言葉に店の奥にあるソファ席に視線を移すと美香が手招きしていた。