ジャスミン
『うーん。良いデザインだとは思うけど、ラストにしては地味じゃないかなぁ?』

一人が呟くと、他の面々も同意し始める。

茉莉が考えたデザインはサマードレスということで白地にウエスト部分は素肌になっており、スカート丈も短く全体的に露出が多いフワフワのウェディングドレスだ。

『…地味ですか。』

落胆を隠せなかった。このドレスのデザインの為に連日、遅くまで全力を尽くしてきたのだ。

『とりあえず、もう少し時間もあるから持ち越すか。』

佐伯部長の一声で他の面々は部屋を後にした。

茉莉は自分のために時間を割いてくれたのに結果を残せなかったことに何とも言えない気持ちを抱え、虚しく残されたデザイン画を見つめていた。


『ほらよ。』

目の前にブラックコーヒーが置かれた。口をつけると、苦味が広がり、今の自分の気持ちを表しているようだった。

『…すいませんでした。』

向かいの席に座る部長に謝る。
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