ジャスミン
『よし!着いたぞ、降りろ。』

いよいよ不安になりながらも、車を降り、部長の後を追いかけた。


部長が止まり、振り返りながら『俺のお気に入りの場所だ。』と私に笑いかける。

『っ!!?』

暗闇の中、キラキラ光輝く夜景に私は言葉を失ったー。

しばらく、お互い無言でその空間に酔いしれた。やがて部長がまるで独り言を言うかのように話し出した。


『昔、仕事でさー精神的にすごくキツイ時があって、目的地もなく、ただ車を走らせてたんだよ。その時に偶々ここに来てこの景色を見つけたんだ。…なんか俺の悩んでることがすごく小さく思えてさ、このネオンの一つひとつの中に俺たちのデザインした服とかを来て、喜んでる人もいるって思ったら、逆にパワーもらってさ。それ以来ここは俺のパワースポットなんだ。』

そう話すと穏やかな笑みを私に浮かべた。

私の知らない部長の一面と部長の話が今の自分と重なり、涙が頬を伝っていったー。
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