ジャスミン
『すいません、お待たせしました。』

『いや。じゃあ、飯食いに行くぞ。』

健司はまるで当たり前のように、車のギアをチェンジして走り出そうとする。

『あの、待ってください!話があるんです。』

茉莉は走りだす前に口火をきる。

『なんだ?仕事の話なら今日はもうおしまいだ。』

健司は若干めんどくさそうな顔を浮かべ、茉莉を見る。

『…そうじゃなくて、もう終わりにしたいの。』

『はっ?』

茉莉の唐突な話に眉をひそめる。

『私今まで、自分が傷つくのが怖くて、一人になるのが、怖くて部長の優しさに甘えてきた。でも、このままじゃ駄目なんだって…部長の奥さんまで傷つけて、私がしていることは何だったんだろうって…前に進む為には、この関係を終わりにしたいの。』

茉莉は思っていることを一気に吐き出した。

健司はギアを動かすのを止め、上半身をハンドルに預けながら話し出した。

『あいつは傷ついてなんかいねーよ。おまえも知ってるだろ?』

以前、健司から話を聞いたことがあった。
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