ジャスミン
エレベーターで下に降りると、ロビーの柱にもたれ掛かりながら、携帯を弄る大樹と目が合う。

俺は片手を軽くあげると、出口へと向かった。大樹はそんな俺の隣に並び、一緒に歩き出す。

『いつものとこ?』

『そうだな。』

大樹の問いかけに同意すると、行きつけの飲み屋へと向かう。


『いらっしゃい~!』

聞き慣れた店長の声に軽く挨拶をすると、言わなくても個室に通してくれる。他の奴には聞かれたくない話をするだけに、その配慮に感謝した。

ビールで乾杯をすると、大樹の熱視線に気づく。仕方なく、顔をあげると気持ち悪いくらいの笑みを浮かべていた。

『~で?あの後どうなったの?』

『どうもこうも、おまえ確信犯だろ?』

『さぁ、どうでしょ!?~で?』

これ以上、問いただしてもはぐらかされるだけだな。と腹をくくり、大樹たちと別れてからのことを伝えたー。


『ふ~ん、颯太郎くんよく我慢したねぇ。』

大樹の尊敬の眼差しに、流石に襲いかけました。とは言えなかった。表情を読まれないように、ビールを飲む。
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