ジャスミン
まるで店の軒下だけ二人だけの空間になっているかのように、その周りは雨がザーザー音を立てている。
(…やっぱり降ってきたか。さっき、大樹とも言ってたもんな…あっ!)
『俺さー、鞄を大樹に預けたままだ…。』
『えっ?』
颯太郎の突然の言葉に茉莉も驚いたようだが、やがて自分の手や身の回りをキョロキョロし始めた。
『う、うそぉ!私もない~!』
さぁ、どうするかと茉莉の手と繋がっていない方の手を背広のポケットに入れると、固い感触に一瞬手を退くが、キーケースであることが分かるとホッとする。
(暗がりで分からなかったけど、うちの近所だよな?…すっげえ、走ったんだな。こういうのを「不幸中の幸い」って言うんだな。)
颯太郎は茉莉の目の前に手品のようにキーケースを出す。
『よし!行くか。』と微笑むと茉莉も応えてくれた。
迷わず繋いでいた手をギュッと握り直すと、自分のマンションへと走り出したーー。
(…やっぱり降ってきたか。さっき、大樹とも言ってたもんな…あっ!)
『俺さー、鞄を大樹に預けたままだ…。』
『えっ?』
颯太郎の突然の言葉に茉莉も驚いたようだが、やがて自分の手や身の回りをキョロキョロし始めた。
『う、うそぉ!私もない~!』
さぁ、どうするかと茉莉の手と繋がっていない方の手を背広のポケットに入れると、固い感触に一瞬手を退くが、キーケースであることが分かるとホッとする。
(暗がりで分からなかったけど、うちの近所だよな?…すっげえ、走ったんだな。こういうのを「不幸中の幸い」って言うんだな。)
颯太郎は茉莉の目の前に手品のようにキーケースを出す。
『よし!行くか。』と微笑むと茉莉も応えてくれた。
迷わず繋いでいた手をギュッと握り直すと、自分のマンションへと走り出したーー。