ジャスミン
茉莉はまだ治まらない上がりきった心拍数を落ち着かせるようにゆっくり深呼吸をする。

他人のしかも知り合って間もない男の人の家で下着を着けずに過ごすという、かなりのハードルの高さに躊躇しまくりだ。

半分やけになって「もうどうにでもなれ!」と言われた通りにネットに入れていくのだった。



チャプンッ。

シャワーで冷えきった身体を一通り流すと、湯船に体操座りで鼻の下まで浸かる。

『…また、会っちゃったな。』

かなりの偶然だが、颯太郎にまた会えたことを素直に嬉しいと思う自分がいる。

そして、やはり自分は颯太郎のことを好きになってることを自覚した。

それと同時に健司のことが頭を過る…

まさか、彼が自分に恋愛感情を持っていたとは思いもよらず、だから余計に自分の無神経さに腹が立った。


『認めないからな。』

手首に出来た痣を見つめながら、健司の鋭い眼差しが頭に焼きついて離れない…。

あんなに強引に感情を出されたのは初めてだった。
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