ジャスミン
〜颯太郎〜

汗だくの身体に気持ち悪さを感じて目を覚ました。部屋は薄暗いが、カーテンの隙間から夜明け頃というのが感じ取れる。

『だるい…俺、何で…っ!?』

一瞬、自分の状態が分からなかったが全て走馬灯のように甦る…俺の横でベッドに頭と両腕を乗せて眠っている茉莉によってー。

『まじでか…俺かっこわるっ。』

額に両手をのせると目を瞑り、不甲斐なさに情けなくなる。


もう一度茉莉の方に顔を向ける。

リビングから男の身体を運ぶなんて相当大変だったに違いない。申し訳ない気持ちと共にどうしようもなく、愛しさが沸き上がってくる。

抱きしめたい気持ちを抑えて頭を優しく撫でる。『んん…っ。』と身体を捩りながら茉莉が目を覚ました。


『こんなとこに寝かして悪かったな。』

『ううん…あっ!熱大丈夫?』

茉莉は颯太郎の額に手を乗せると、冷たい感触に心地よさを感じた。

『うーん、まだ少し熱いね。』

茉莉の言葉に風邪をひいたことを実感させられ、苦笑いを浮かべた。

『風邪なんかひいたのいつぶりだろう?』
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