ジャスミン
キッチンに戻ると、流石に一段落ついて落ち着いたのか俺の存在に茉莉が気づく。

『もうすぐ出来るよ。っていうか何で起き上がってるの!?まだ熱があるのに…まさか、仕事行く気なのっ?』

まくし立てるように言われ、怯みながらも『あぁ。そのつもりだけど。』と答える。

『何考えてるの?絶対だめっ!もし、仕事中にでも倒れたらどうするの?それこそ、周りの人に迷惑かけるでしょ!』

余りの気迫に、『そうだな…。』としか答えを返せてないが、次には背中を押され、寝室へと戻される。

半ば、無理矢理寝かされ布団を掛けると満足そうな顔をする茉莉に『母さんみたいだな。』と呟くと『はっ?』と睨まれてしまった。

そんな掛け合いも、普段一人暮らしの自分からは想像もできず、顔がにやけてしまう。


『じゃあ、仕事が終わったらここに戻ってきてよ。それだったら、大人しく今日は休むよ。』

『えっ?ぅ…分かったよ。』

冗談半分で言ったことだが、思わぬ茉莉からの返事に嬉しくなった。

何なら、ずっと居ればいいーなんて思ったが、まだ早すぎか。と先走る感情にブレーキをかけた。
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