ワケアリ男子の秘密
ハプニング
.....まったく!私としたことが!
ちょっと朱雀先輩をからかおうとしたら
逆にとんでもない目に会った。
プリプリしながら寮に帰ると、
何やら神妙な顔をしたルームメートの洋平が二段ベッドの上から顔を出した。
「....谷田。おまえ、朱雀先輩と会ってるって本当か?」
ドキッ。
別に悪いことをしてるわけじゃないのに。
私の心臓は勢いよく脈を打ち始める。
「.....それがなんだよ。」
洋平が目を見開いた。
「マジかよ!おまえ、朱雀先輩と1年が一緒に居たって有名人になってんぞ!そもそも朱雀先輩の噂聞いてんだろ!」
え!
マジで。
でも、私が誰と居ようと
関係ない。
「知ってるよ。けど、そんなの俺の勝手だろ。言いたいヤツには言わせとけばいいんだよ。」
それを聞くと、洋平は困ったような、
呆れたような顔をした。
「あのなぁ....ちなみに、ストレートに聞くけどお前らどういう関係?」
「そんなの、普通の友達に決まってるだろ。」
「....なるほどねぇ。で、どんな人?」
洋平が身を乗り出して聞いてきた。
私はこれまでの話をした。
「....あんまり誰にも言うなよ。」
「へーぇ。そんなことがね。ほー。おまえもお人好しっつーか。ま、いいんじゃん。そろそろ飯、行こうぜ!」
私と洋平は食堂へ向かった。
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......ガヤガヤ。
いつもの通り、食堂は賑やかだ。
「そういえば、谷他、女装大会、知ってっか?一般公開の。」
「へぇ。そんなのがあるんだ。」
オムライスを食べるのに、夢中だった私は適当に返事を返した。
「うん。クラスの一人を女装させて、1年から2年まで一番誰が可愛いか競うヤツ。」
そこまで聞いて、私は
言われることの予想がついてきた。
「それで?」
「おまえ、クラス代表、やらね?」
....やっぱりね。
「俺はあいにくそんな趣味は無いね。」
「話はまだ終わってないぜ。おまえ、一位の景品知らないだろ。....だぜ?」
カチャンと私のスプーンが出から滑り落ちる音がした。
「マジで.....?」
目の前の洋平がニヤニヤ顔で
ゆっくりと何度も頷く。
「明日、クラスで決めると思うから。」
「....考えてみるわ。」