ワケアリ男子の秘密
「失恋だぜ、全く....」
図書館から出ると、丁度あの子が来たところだった。
ん。近くで見るとまあまあ顔はいいじゃねーか。
「やぁ、君、名前、何?」
ペコリと浩一に挨拶すると、
その子は自己紹介した。
「あ、はい。谷田真尋です。1年です。」
「真尋ちゃん!いい名前~」
と言いながら、浩一は
真尋の顎をくいっと持ち上げて、
顔を近づけた。
「えぇ!?あのー、....」
みるみる赤みが差す顔。
潤んだ瞳。
なるほど、朱雀はこんなのがお好みか。
「君が朱雀の、ねぇ。ほーーお...」
その時、ガララっと
図書館の引き戸が開いて、
朱雀が出てきた。
「何してる、浩一。」
浩一はギクッとしてから
「なんにもしてないよーー」
と言って逃げるように
その場を去った。