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私が担当している子どもは2歳児。
「魔の2歳児」って言われているらしい子どもたちは、できないながらもいろんなことに挑戦したがる。
動きも活発になってきて、ひと時たりとも目が離せない。
18人いる子どもたちをアルバイトを含めた3~4人の先生たちとで見ている。
私なりに精いっぱいやっていた。
やっているつもりだった。

保育園で預かっている男の子がケガをしてしまった。
とっても活発な男の子タクちゃんは保育士たちの目を盗んでは高いところに登りたがる。
「タクちゃん、危ないからね。
登っちゃダメだよ。」
と下しても同じことを繰り返していた。
普通の子には登れない高さでも、頭のいいタクちゃんはあの手この手を使って登ってしまう。
ちょっと目を離したすきに、タクちゃんがまた棚の上に登ってしまった。
「タクチャン、危ないからね。
今、美桜先生行くからそのままね。」
って言った瞬間、タクちゃんが
「だいじょうぶだもん。」
と言って下も見ずに飛び降りた。
その瞬間、
「ぎゃぁあ~」
と泣きだしたのは棚の下で積み木遊びしていた有希ちゃんだった。

有希ちゃんはタクちゃんが上から落ちてきたことで、遊んでいた木のブロックに前歯をぶつけて折ってしまった。
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