その扉の向こう側
9歳
今日はお父さんとお母さんがお出掛けで、家には僕しかいない。



でも、寂しくなんかない。


「待ってよ、お姉ちゃん」


隣の家のお姉ちゃんが僕のために遊びに連れていってくれるから、寂しくなんかない。

それどころか、これなら毎日二人ともお出掛けでもしてくれればいいのにと思う。


「ごめん、ごめん」


その笑った顔が好き。



その優しい声が好き。



その温かい手が好き。



お姉ちゃんの全てが好き。



そう、僕はお姉ちゃんのことが好きだ。



お父さんは馬鹿にする。



お母さんは笑うだけで、何も話さない。



それでも僕はお姉ちゃんが好きで、この好きという気持ちは大人が使うような遊びというものじゃない。

僕は本気でお姉ちゃんが好きだ。
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