その扉の向こう側
18歳
きみが高校を卒業したらね


18歳、高校三年の2月の俺は、あのときの言葉が毎日のように頭の中に甦っていた。


お姉ちゃんだって、まだじゃん


そして、必ず当時9歳だった俺が言い返す。



お姉ちゃんは、もう高校を卒業しない。

もう歳を重ねることもない。

気付いたら、あのときのお姉ちゃんの年齢と並び、春になったら越えてしまう。



頭の中ではお姉ちゃんはあのときのままだ。

生きていたら、今頃はどんな女性になっていただろう。

やっぱり、俺はお姉ちゃんのことが好きでいるのだろうか。


「お姉ちゃん・・・俺、もう高校を卒業するよ」


ベッドの上で仰向けに天井を眺めながら呟いて体を横に向けると、溜まっていた涙が頬を伝った。



そのとき携帯電話が鳴り響き、俺は慌てて手に取った。
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