その扉の向こう側
本当に突然だった。



でも



もしかしたら、掛かってくるのではないかと思っていた。


「北澤くん」


そして



こうして二人でこの場所に来ることを分かっていたのかも知れない。


「ごめんなさい、待たせてしまって」


申し訳なさそうに立っている彼女を冬の寒さに放っておくかのように、俺は奥へと足を進めた。

彼女は何も言わずに後ろにつき、待ち合わせをここにした理由を聞こうともしなかった。
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