その扉の向こう側
お姉ちゃんが入った病室に、たくさんの人が出入りしている。

それをただ僕は眺めるだけで、そこから一歩も動くことができなかった。



しばらくしてから病院の先生が病室から出てきて、お姉ちゃんのお父さんとお母さんに何かを話した。

それを聞いた二人の顔を見て、僕は知ってしまった。


お姉ちゃんは死んだ


声を出して泣きたいのに、声が出ずに手が震えた。



涙を思い切り流したいのに、涙が出ずに手が震えた。


お姉ちゃんは死んだ


顔は少しだけしか覚えていないけど、名前だけははっきりと覚えた。


マナミ


僕はこの女の子のことを絶対に忘れない。
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